こんにちは、源です。今日は絵本をモチーフにした椅子を作ってみた話です。
このえほん、知ってる?
皆さんは「どうぞのいす」という絵本をご存じですか?約40年愛され続けている絵本で、うさぎが作った椅子を中心に物語が進む「おもいやり」についてのお話です。
本屋で見つけ、懐かしさから手に取って読んでみました。読み進めるうち、話の内容を思い出しました。うさぎの不器用さが面白く、デザイン性を上げたうさぎの椅子を作りたくなりました。
耳と尻尾を付けた、うさぎっぽい椅子をデザインしてみました。絵本を読むような小さな子供が使うものをイメージしています。
もうひとつのきっかけとしては、パン屋の店頭にあったベンチを見て、いい感じだなと思いました。ベンチと似たような感じでいすを作りたいと製作に取りかかりました。
設計
まずは、材料を手配するために設計図を書きます。いつものように適当に書いていきます。普段は広告の裏などに書いていますが、今回はふらっと立ち寄ったホームセンター内で設計したので、リュックの中に入れていたiPadで書きました。
その場の勢いで書くよ!
材料の余りを少なく、効率的に使い切るようにします。今回の場合は使う材料が30×105×3,000㎜と45×45×3,000㎜のヒノキです。3mの長さをなるべく使いきるように設計するため、椅子の幅を30㎝にして座面や背板を30㎝として設計します。
座面に3枚、背板に2枚使用しますので、椅子一脚につき5枚、二脚で計10枚となり、ちょうど3mの長さを使い切ることができます。なお、実測してみると2~3㎝くらいは余分に長さがあるので、ノコ代(ノコギリの刃の厚みで、材料として使えないもの:2〜3㎜)を加味しても10枚取ることができます。
名称 | 規格 | 数量 | |
① | 背板 | 105㎜×300㎜×30㎜ | 4枚 |
② | 座面 | 90㎜×300㎜×30㎜ | 6枚 |
③ | 前脚 | 45㎜×45㎜×220㎜ | 4本 |
④ | 後脚 | 45㎜×45㎜×600㎜ | 4本 |
⑤ | 幕板 | 45㎜×45㎜×150㎜ | 4本 |
⑥ | 貫 | 45㎜×45㎜×180㎜ | 4本 |
⑦ | 耳 | 105㎜×150㎜×30㎜ | 4枚 |
材料手配
今回はホームセンターで設計したので、そのまま材料を購入します。3mの材料は自家用車で運べません。カットサービスを利用します。パネルソーは厚さ40㎜までしか切れないので45㎜角の材料は手ノコで切りました。
品名 | 規格 | 数量 |
ヒノキ | 105㎜×300㎜×3000㎜ | 1本 |
ヒノキ | 45㎜×45㎜×3000㎜ | 2本 |
座面には105㎜幅の板を計6枚使いますが、そのままでは座面が大きくなりすぎます。このため、90㎜に幅を小さくします。3,000㎜を1,800㎜と1,200㎜に切り分け、1,800㎜はパネルソーで幅を105㎜→90㎜に縦挽きします。
その後、必要枚数に6等分します。
なお、今回はいすの合わせたテーブルも作ろうと思ったので、少し多めの購入となりました。テーブルについては、次回、作ろうと思います。
製作
まず、卓上丸ノコを使用して材料を切断します。角になる部分は45度の角度切りをして、角を落としておきます。
丸みを帯びさせるために、角をヤスリで整えたり、カンナで面取りをします。子供が使うものなので、安全に配慮して角ををなくします。また、全体に丸いイメージにすることで柔らかいデザインにします。
コーナークランプで固定しながら、コーススレッドで固定していきます。
仕上がりでビスの頭が見えなくなるように、穴を開けておいてダボで隠れるようにします。はみ出たダボは切り落として、カンナやヤスリで平らになるように仕上げます。
座面を貼っていきます。クランプでしっかり固定しながら、ビス留めしていきます。先ほどと同様に、ダボで隠すための穴をドリルで開けておきます。ビスの位置が揃っていることで仕上がりが良くなるので、穴あけの位置はしっかり測定して決めておきます。
背板もしっかり位置出しをして、クランプ固定したらビス留めします。2枚目を貼る際には隙間が均等となるように端材などを挟み込んで取り付けます。
耳の部分は丸みを帯びさせるために角度切りをします。45度と22.5度で何度も切ることで曲線に近づけて切ることができます。後はヤスリで角を落とせば丸い材料が出来上がります。
しっぽの部分も同じように角度切りを多用していきます。
以上で組み上がりました。今回は2脚同時に作りましたので少し時間がかかりましたが、1脚であれば1日で十分完成させることができます。
2脚いっぺんに作るのは疲れるね
仕上げ
今回作った椅子は、何年も使い込んだ風合いを出したくて加工をしました。まずは表面を燃やすことで浮造り加工をしています。浮造りとは、表面を燃やしてから削り、年輪を浮き出させる加工です。
浮造り加工は、とにかく手間がかかりますので、無垢のひのきのままでよかったのでは?と後悔しながら磨いていた時期もありました。トライされる場合は、気合を入れてお願いします。
完成した椅子を燃やしてしまうのは勇気がいりますが、バーナーを使って一気に燃やします。なお、燃やすことによって木材内の水分量が変化するので、割れが生じることがあります。下側の背板右端に割れが生じているのがわかりますでしょうか?また、意図せず、燃えすぎてしまうことも良くありますので、その点も注意が必要です。
どのような変化があったとしても、全ては味です。
燃えすぎてしまうのを防ぐために、水で消火したくなりますが、熱くなった木を水で急激に冷やすと、反りや割れが一気に進みますので避けましょう。火事になってしまいそうなとき以外は、吹き消したり、自然鎮火を待つのが得策です。
表面の炭化した部分は、ワイヤーブラシを使って掻き落としていきます。ブラシは真鍮のものを使うとちょうど良い硬さで、炭だけを落とすことができます。ブラシの毛足の長さや全体の大きさで3種類を使い分けています。仕上げる部位の大きさや、作業効率で使い分けていきます。
とにかく、ブラシでこすって削りくずが出なくなるまで地道にブラシがけをします。ブラシがけをすると、「節」や冬場に育った色の濃い「冬目」が残り浮き出てくることになります。木目に沿って凹凸が出来上がり、これが浮造り加工となります。
ワイヤーブラシで磨いても、なかなか表面の炭を落としきることはできません。一通り、掻き落としてた後に水洗いをします。細かな炭が表面に残っていますので、洗い流します。全体に水をかけてナイロンブラシでこすります。その後、乾いた雑巾で水気を拭き取り乾かします。雑巾に色がつかなくなるまで繰り返します。
十分に乾かした後には、蜜蝋ワックスを塗りこみます。二番目の写真は、下半分のみが塗ってある状態です。ワックスは木材の保護をするだけではなく、艶を出したり、木目がはっきりするようになります。今回使用したワックスは自然由来のものだけを材料としているため、子供が使うものに使用しても安全なものとして選びました。
以上で椅子のセットが完成しました。
うさぎのいす、かわいいね
使用工具
作るのに使用した電動工具や道具です。とりあえず、必須なものだけをあげておきます。
木を切る際に使用する電動丸ノコです。これだけの量を手ノコで切るのは骨が折れます。イロイロ複雑なので、ホームセンターのカットサービスでは対応しにくいですね。
丸ノコは電源式のもので十分です。欲を言えば、スライド丸ノコがあると最高ですね。
インパクトドライバーです。ビスを打ち込んだり、ドリルで穴を開けることができます。DIYを始める際には、一番初めに手にいれるべき工具といっても過言ではありません。
まずは、充電器・バッテリー2個がセットで、値段と性能のバランスが良いこの製品を購入しておけば間違いありません。
部材固定しておく際に活躍するクランプです。クイッククランプを長さの違うものを数種類と、コーナークランプを4個(1セット)あれば大丈夫です。
テーブルを作って、子供用ダイニングセットを完成させました。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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