木製物置を自作しています。前回までで、扉の取り付けが完了しましたので、残るは「外壁」を張るのみです。
物置の外壁材としては、トタンやポリカーボネイト等の波板、鋼板、サイディング材などがありますが、今回使用する材料は焼杉を選択しました。
焼杉は西日本地方に昔から使用される伝統技法で、杉板の表面を焼き黒く焦げさせたものです。滋賀県よりも西側の地方、とりわけ瀬戸内海沿岸では、昔ながらの家の外壁によく採用されています。

黒く焦げた部分が、杉板の表面に炭素層を作り、防腐材の役割を担うようになります。条件がそろった場合の焼杉は、50年持つといわれています。
焼杉を採用する理由としては、以下のものがあります。
- 木目を活かした黒い表面となり、落ち着きのある雰囲気になる
- 材料を杉の野地板とすると、安価である
- 耐久性があり、経年劣化した際にも、味が出てくるようになる
- 表面に炭素層ができることで、燃えにくい状態となる
焼杉は加工済みのものが売っていますが、せっかくですから自作してみることをお勧めします。
自分で焼くことで、非常に経済性に優れた外壁材となります。
焼き方としては、2通りあります。
1.バーナーで杉板表面をあぶる
- 火力が弱いため炭素層が薄い
- 耐久性が低くなりやすい
- 焼くのに時間がかかるため、大量の施工は困難
- 目視しながら焼き加減を調整できる
2.三角焼き
三角焼きは、3枚の杉板を三角形の筒状に組み、濡らした荒縄で周りを縛ります。中に火をつけた新聞紙やカンナくずを入れ筒を立てると、煙突効果で上昇気流が発生し、大きく炎が上がることで杉板筒内を焼くことができます。
- 火力が強いため厚い炭素層ができる
- 耐久性が高くなる
- 3枚を焼く時間は5分程度で完了
- 焼き加減を目視することができない
焼杉の製作方法としては、三角焼きのほうが耐久性の高いものが短時間でできる点で優れていますが、見えない中で焼くため、カンと経験が必要となり難易度は高いです。
物置程度の数量を焼く場合には、バーナーで焼く方法が容易なためオススメです。

簡易バーナーでも草焼き用の大型バーナーはカセットガスを使用するため、取り扱いも簡単で火力も大きいものがあります。ただし、初めて使う際には、燃焼音が大きいことに驚くかもしれません。
初めて焼杉をする場合には、小さなバーナーから挑戦してみましょう。
焼杉の仕上げはいくつかあり、違いとしては、表面にできた炭素層をそのまま生かすか、掻き落として木目を強調するものがあります。
炭素層を落としてしまう場合は、おのずと耐久性が下がってしまいますが、最終的には見た目の好みで選択すればいいと思います。
劣化してきた際には、塗装をすることで耐久性を高めることもできます。
木材にて何かを自作する際、外壁材で悩んだ場合には、ぜひ、焼杉を検討してみてください。
次回は、扉部分に外壁材を貼っていきます。
インスタでは多くの写真で製作過程を紹介しています。よろしければご覧ください。
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