10年経過したから分かった、設計事務所と工務店で契約して建築家と家を建てた話

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こんばんは、源です。今日は家造りについてです。

げん

さすがに家はDIYできないからね

いつもはDIYについてブログを書いていますが、今回は私が10年以上前に家を建てた時の話をします。今後、家を建てる方の何かの参考になれば幸いです。

目次

どうやって家を建てる

家造りを思い立ったのは

私が家造りを思い立ったタイミングは、子供が小学校に入学する時期が近づいてきたからでした。小学校で転校はさせたくなかったので、入学までに引っ越したいと考えていました。

土地に関しては、親戚からの土地を借りることができたため、金銭的な負担は少なくなり、その点も早めに家造りに取りかかろうと思った理由の一つです。

建築は昔から好きでしたが、家を作ろうと思ってからは、さまざまな本を読んで勉強しました。実際に家造りを始めるてからは、住宅展示場を回り、いろいろな工法の家を見て回りました。この段階では、どんな家をどこで建てようか全くイメージはできていませんでした。

住宅工法の違い

在来軸組工法、ツーバイフォー工法、プレハブ工法、鉄筋コンクリート造、鉄骨造などが代表的な住宅工法です。下表にその特徴をまとめます。

工法特徴
在来軸組昔ながらの日本建築工法です。大工の腕が品質に影響しますが、現在は工場でプレカットしますので、以前ほどの差は無くなりました。柱と梁(はり)で構造を支えます。将来的な間取り変更が可能です。
ツーバイフォーアメリカ生まれの工法です。細かな細工がないので、大工の力量は問われません。壁、床で支える構造です。間取りの変更はできません。火災が発生した際、燃え広がりにくい特徴があります。
プレハブ工場で大枠を組み上げ、現地で内装や設備を組み上げます。工場製作での品質管理なので、高品質なものがどこでも手に入ります。
鉄筋コンクリート非常に丈夫な構造となります。躯体自体に蓄熱しやすいので、夏場の暑さ冬場のの寒さを凌ぐ断熱施工が重要となります。他の工法に比べて割高となります。地震や火災に強い家となります。
鉄骨重量鉄骨や軽量鉄骨を用いた構造で、メーカーによって様々なタイプがあります。柱のない、長大スパンの部屋を作ることができます。

住宅展示場でさまざまな工法の家を見て周り、結局、私は昔ながらの日本家屋の雰囲気が好きだと再認識しました。縁側に風鈴でも飾って、暑さを凌ぎながら、スイカでも食べるイメージですね。

よって、工法としては在来軸組工法を選択しました。軸組工法は、様々な設計の考え方により、予算がピンキリとなるり、経済的コントロールがしやすいことにも特徴があります。

建築会社探し

工法はわりかし早めに決まりましたが、どこで建てるかが決まりませんでした。住宅展示場で、ハウスメーカー、工務店などのモデルハウスを多く見て回りましたが、「ここだ!」と思える会社は見つかりませんでした。

そもそものデザインの雰囲気、予算、会社が重きを置いている部分が自分と合わないなどの理由で、決定には至りませんでした。多分、私のこだわりが強かったことが原因の一つかなと思っています。もし、住宅展示場で気に入った会社が見つかればラッキーですね。

設計事務所で建てるという選択肢

建築会社を探している中、知り合いと家造りの話をしている中で、実は、その人が建築家に依頼して家を建てた話を聞かせてもらいました。

そんな建て方を実際にする人がいるとは思いませんでしたが、経験者を目の当たりにすると、自分もやってみたくなりました。

とりわけ、住宅建築についてのこだわりが強かった自分としては、いい建て方だと思います。もし、あなたもこんな傾向があるなら、設計事務所で家を建てるのが向いているかもしれません。

設計事務所で家を建てるのが向いている人
  • 住宅建築に興味があり、いろいろこだわりたい人
  • ありきたりなものは好きではなく、デザインにこだわりたい人
  • 建築が好きで、細かな部分まで一緒に考えたい人
  • 経済的に抑えたいけど、こだわりたい人
  • 全てをお任せにして、おしゃれな家を建てたい人
げん

やってみると面白いよ!

上のどれかに当てはまる方は、建築家に家造りを頼むことも検討してみてはいかがでしょう?

設計事務所で家を建てるということは

設計事務所(建築家)に家造り頼むと、他の建て方(ハウスメーカーや工務店)とは何が違うのでしょうか?

設計事務所の仕事

建築家に依頼するのは、設計と監理となります。これは、家の間取り、構造などの図面を書く設計業務と、工事の施工を監理する監理業務です。

実際に家を作るのは、別に契約した工務店などが施工します。工事をする人と監理をする人が独立しているため、厳しい視点での監理が行われ、施工不良を減らすことができます。

設計、監理業務を建築家の設計事務所と契約します。建築工事は工務店と契約を締結するため、ハウスメーカーで建てる場合よりも複雑な契約となります。

設計事務所で家を作るメリット、デメリット

建築家に設計を依頼するメリットとしては、自分が望むことを実現しやすいことです。様々な要望を伝えると、経済性を考慮しながら実現できるように考えてくれます。

お金を注ぎ込むところと、削るところを使い分けることで、トータルコストを抑えることができます。設計監理として建築工事とは別に設計監理委託契約を結びます。おおよそ建築工事費用の11〜13%が目安となります。別に契約金額が必要となりますが、設計で得られるメリットは金額以上のものがありますし、コストコントロールによって金額以上の節約をすることも可能です。

実際、ハウスメーカーや工務店で発注したとしても設計や監理費用は必要なのですが、見えないだけで金額としてはどこかに含まれています。どこかで誰かが設計しないと家は建ちませんから。

同じように設計にお金を払うならば、設計の自由度が無限な建築家と建てる方が楽しくなると思います。

設計事務所を利用する際のメリット、デメリット

  • 希望の家が作れる
  • コスト管理がしやすい
  • 第三者の視点で工事監理できる
  • 設計監理料が必要
  • 家造りに時間がかかる

設計事務所の探し方

それでは、建築家の探し方です。やはり、現在であればインターネットが主流だと思います。アトリエ系と呼ばれる設計事務所で建設予定地になるべく近いところで探します。どうしても依頼したい設計者がいるのであればしょうがないですが、遠方から打ち合わせをしたり、現場監理をするのは難しいものがあります。

どこの設計事務所でもホームページに建築事例が掲載してあるので、自分が求める雰囲気に近い事務所を探しましょう。複数の事務所を選んだら、メールや電話でアポイントをとって話してみます。

設計事務所との付き合いは、設計から建築完成までで一年以上となります。長い付き合いとなりますので、フィーリングが合わないと何かとキツイので、重要視すべきと思います。

私の場合は、いろいろこだわりたいことが多かったので、「施主がいろいろ口を出すことはどう思いますか?」と毎回聞いていました。多くの答えは「要望は聞くが、建築のプロに任せてほしい」という感じで、やんわりと素人には口を出されたくない方が多かった印象です。

げん

家造りには積極的に参加したいね

結局、私が契約した設計事務所は、ほぼ同年代の所長が「どんなことでも、ガンガン言ってきてください。」と言っていたところです。いろいろと議論しながら設計を進めていく作業は、私としては楽しく過ごした時間でした。相手にとっては大変だったかもしれませんけど。

建築事務所を決める際には、建築事例の実物を見るのが最もイメージしやすいです。設計事例の現場が進行中であれば、その現場を見せてくれるはずです。ぜひ、見せてもらってから判断してください。写真ではわからないものが現場にはあると思います。

住宅設計をする建築であれば、憧れや目標とする建築家がいると思います。「建築家では誰が好きですか?」と聞くと、どのような家を作りたい人かがよくわかりますので、参考になると思います。

ちなみに私が好きな建築家は宮脇檀(みやわきまゆみ)さんです。この本を読んで住宅設計の考え方を勉強し、自分の家にも少し取り入れてみました。

設計事務所の仕事の進め方

最終的に依頼することを決める前には、大まかなプランを提出してくれる場合があります。設計事務所も仕事が欲しい部分もあるため、ある程度は宣伝活動のようなものとして、アイデアを出してくれます。ここまでの部分で費用が発生する場合には問題ありませんが、費用発生がない場合には、設計事務所の時間を使っていることを十分に考慮する必要がり、依頼を断る場合には、相手の労力に対する感謝を忘れてはいけないと思います。

設計委託契約を締結した後は、要望はがんがん伝えるべきです。施主の要望を聞くことも設計者の仕事ですから。建築家が設計を進める際には、施主の要望をじっくり聞きます。ヒアリングシートを用意していて、細かな生活様式や将来展望なども含めて、家づくりに必要な情報を細かく聞き出します。

上手に聞き出し、設計に反映させるのは建築家の腕の見せ所ではないかと思っています。

ちなみに、建築家と聞くと匠(たくみ)というようなイメージがあるのではないでしょうか?あのへんは作られたイメージで、実際の建築家は、とにかく建築が好きな人という感じで、ずっと考えているのでは?というような人が多い気がします。また、住宅建築の世界では、大型建築でのスター建築家のような人はいないので、華やかなイメージとは縁遠いのではないでしょうか。

設計事務所の仕事の流れ

  1. 施主要望のヒアリング
  2. 建設予定地調査
  3. 打ち合わせ
  4. 設計案提示→3→4(数回繰り返し)
  5. 設計図面完成
  6. 工務店選定→決定
  7. 工事請負契約締結
  8. 建築工事開始後に工事監理

それでは、個々の項目について詳しく書いていきます。

1.施主要望のヒアリング

まずは、施主がどのような家を望んでいるのかを聞く作業をしていきます。現在住んでいるところの状況や、その生活の中での改善したいところ、いいと思っているところなど、細かなところから家づくりのヒントを探します。

後は、どのような家を望むかのイメージなどを聞かれます。

げん

質実剛健で!

私の場合は、とにかく「質実剛健」なものを作りたい。お金をかけるべきところにはかけ、削るべきところはけずるといったメリハリをつけたい。また、地震に強い家にしたいと要望しました。

実際のヒアリングは、建築家が用意したヒアリングシートを打ち合わせ前に渡され、記入したものを持参して打ち合わせるスタイルでした。

2.建設予定地調査

家を設計するには、基礎が重要です。基礎は強固な地盤に載せて初めて機能します。設計を始める前に、建設予定地の地盤調査をします。

住宅を建築する際の地盤調査としては、SWS(スウェーデンサウンディング)方式と呼ばれる簡易な調査を用いることが多いです。この調査方式は簡易な機械で調査できるため、安価で手軽にできることが利点です。

あくまで、簡易な調査方式であるため、地盤沈下のおそれがあるような場所では、詳細な調査を追加して確認する場合もあります。

専門家であれば、周辺地域の状況(山や川などがある)ことや地名(沼、河などの水に関する言葉が入っているなど)から推測することもあります。

私の場合は、家から10メートルほど離れた場所の詳細なボーリングデータを持っていたので、そのデータを参考にしましたが、実際に建てる場所とは少し離れているため、SWS方式を追加して確認しました。

結果としては、住宅を建てるには十分とは言えない地盤であるが、必ず地盤沈下が発生するものではないものでした。質実剛健なものを作りたい私は、柱状改良と呼ばれる地盤改良をすることとしました。

柱状改良は、基礎の下に柱状の地盤を作るため、ドリルで地中を掘りながらセメントを混ぜて柱を作る工法です。地表面から数メートルに固い地盤がある場合に採用します。地盤改良費用は安くはありませんが、将来的な安心を買うと思えば安い買い物と思います。

げん

基礎は大事よね

ちなみに、設計事務所に設計を依頼すると、その設計事務所は意匠設計を専門としています。建築設計の世界は、意匠設計と呼ばれるデザインを主として設計する分野、構造設計と呼ばれる構造を検討する分野、設備設計と呼ばれる電気、空調などの設備を検討する分野に分かれます。

基礎構造の検討に関しては、意匠設計者で構造を得意とする人は少ないです。不安を感じた時には、構造設計者の意見を聞かせてもらうようにお願いしてみましょう。

3、4.打ち合わせ〜設計案提示

現地調査、ヒアリング、地盤調査を踏まえ、設計事務所が第1案を出してきます。多分、施主の考え方や好みなどを探るために、こんな感じはどうだろう?とぶつけてくる部分があると思います。

ここからは、提示された案をもとに施主と設計者で打ち合わせを繰り返し、最終案を作り上げていいきます。打ち合わせは設計事務所でしたり、メールを使って打ち合わせします。

第1案のことは、今でも強烈に覚えています。四角い地形に三角の家が建っていました。リビングが三角形になっているのを、「どうですか?」と見せられた時には、思いっきり苦笑いをしながらどうやってこの案を却下するのかを考えていました。

げん

三角形の家?ないな…

とりあえず、持ち帰って検討することとしましたが、次回の打ち合わせでサラッと断って、別の案の検討を依頼しました。まあ、質実剛健とは程遠いですからね。

建築家と家を建てるときに一つ気をつけなければならないことは、「作品」というようなぶっ飛んだ案を投げ込まれることがあることです。そのような家を望んでいる場合はいいですが、そうでない場合は明確に断りを入れて問題ありません。相手も仕事でやっていることですし、施主の要望を汲み取れない建築家に落ち度があります。

設計案については、常に思ったことをぶつけてみます。思いつきで出ない場合もあると思うので、考えていることをメモなどにまとめておくと忘れることがありません。

5.設計図面完成

設計事務所と施主で何回も打ち合わせを重ねて設計案を煮詰めていきます。デザイン、使い勝手、経年劣化などを考慮しながら進めますが、施主が一番気にすることは「経済性だと思います。

設計を進めるにあたっては、設計事務所が過去の経験や実績から算出した概算見積もり費用をもとに工事費をコントロールしていきます。

私の場合は、初回打ち合わせ時に明確な予算を示しました。しかし、数回の打ち合わせを重ねた後、設計案が固まってきた時の概算費用は、予算から2千万円を超過するものでした。

げん

えっ?予算は伝えてあったやん!

まあ、こんなことはよくあることだと思います。実際、ほとんどの施主が最初に示した予算に収まることはないと聞きます。

家を建てるときの金額は大きすぎるので、金銭感覚が麻痺してきて、少しくらいの予算オーバーはなんとかなるだろうと思ってしまいます。家を買った勢いで、新車まで購入してしまうなんて話もよく聞きますからね。

一生の買い物であるので、少しの金額を気にすることで後悔したくないという気持ちが働くのだと思います。

私の場合は、結果として予算超過はしませんでしたが、金額の擦り合わせに時間がかかりました。予算をコントロールする手段として、以下のことを一例として実施していきました。

予算減額方策

  • 床面積を削る
  • 設備のグレードを見直す
  • 外壁の仕様を見直す
  • 軒の形状を変更する
  • 外構を施工範囲から除く
  • 費用をかける箇所を割り切る

床面積を削る

予算を削減する場合、最も威力を発揮する方法です。床面積は大きいばかりがいいわけではありません。いらない場所、広すぎる場所はどこかにあるかもしれません。

床面積の目安としては、一人当たり8坪というものがあります。まずは、この数字を参考に床面積を見直すことで、削る部分が見つかるかもしれません。

設備のグレードを見直す

システムキッチン、風呂ユニットなどは金額も大きいので、グレードの違いが金額差を生みます。外国製のシステムキッチンに憧れる気持ちもわかりますが、日本製でもいいものは多数存在します。また、世の中では有名でない会社の中に、知るひとぞ知る的な、品質が良いにもかかわらずお値打ちなものが存在ます。そんなものを見つけてみるのはとても愉しいことです。

外壁の仕様を見直す

外壁の仕上げをどうするかは、建物の印象を最も左右します。設計事務所と相談すれば、耐久性や経済性を考慮しつつ、かっこいいものを提案してくれるはずです。

軒の形状を見直す

軒の出幅や形状は外壁を保護する意味合いであったり、外側の印象を決定する重要なものです。ただし、あまりこだわり過ぎると経済的に圧迫してしますので、バランスを取る必要があります。また、外壁にも通じるものがありますが、家全体の形状を単純にすることが費用を削る手段の一つとなるため、シンプルなデザインを目指すことも役に立ちます。

これは、屋根形状についても同様で、シンプルな外見は経済的に優れたものとなります。

外構を施工範囲から除く

家を建てると同時に外構も施工する事で、一体感のあるデザインとすることができます。しかしながら、外構だけは、他のものと違って、後から施工することができます。住みながら、ゆっくりと外構を作り上げていくのも楽しいことです。

私は、思い切って全てを除いたことで、DIY を始めるきっかけとなりました。周囲のフェンス、自転車置き場、ウッドデッキ、芝生張り、植栽などを少しずつ進めています。

家は年月を経ることで変化を楽しむものだと思っています。家の経年変化に合わせて、外構が出来上がっていく様は、家の成長を見ているようで、DIYのやる気も出てくると思います。

費用をかける箇所を割り切る

自分が好きなところ、こだわりたいところには予算をかけますが、そうでない部分には、節約するようにします。満遍なくお金をかけるのではなく、かけたいところにかけるようにします。

私の場合は、お風呂の時間を大切にしたかったのでユニットバスを大きめにしたこと、一階の壁をすべて珪藻土にしたことをこだわっています。

また、リビングで映画を観たかったのでリビングシアターを構築しましたが、テレビの壁掛け、スクリーンやプロジェクターの天井への設置、サラウンド用スピーカーの埋め込みなどもこだわりましたが、これらをDIYしましたので、機器費用以外はあまりかかっていません。

げん

予算はメリハリが大事よね

6.工務店選定

設計図面が完成したら、建築工事をしてくれる工務店を選びます。設計事務所が今までの施工実績がある数社に声をかけて、見積もり書を提出してもらいます。

ちなみに、工務店に依頼する見積もりは、設計事務所が概算見積もりとして計算した金額とは、かけ離れることが多いと思います。設計事務所が坪単価的な簡易な手法で計算していることが多いからです。

しかし、慌てるようなことではありません。工務店側は、不確定要素がある部分については保険をかける意味合いで、少し高めとすることがあります。

材料や設備などの仕様を確認したり、施工詳細を打ち合わせ、不確定要素をなくすことで金額調整をすることができます。この見積もり調整作業は設計事務所の重要な仕事の一つです。

設計事務所から紹介された工務店2社からの見積もりを提出してもらい、設計事務所において工務店の人と話をしました。積算の方法、工事に対する会社の考え、アフターフォローなどについて小一時間ほど話します。

当時は仕事上で様々な施工会社と関わることが多く、ある程度話をすれば会社の雰囲気が掴めるようになっていると思っていました。今考えると若気の至りだったかもしれません。

しかし、当時の私は自分の直感を信じていたので、どちらの会社も仕事を任せたいと思うことはありませんでした。設計事務所が推薦する会社は「なんか違うな」と思ったので、自分が元々気になっていた工務店に声をかけてみました。

気になっていたのは、住宅展示場で見かけた地元の工務店です。住宅を作る会社ですが、神社、仏閣などの伝統構法も扱う会社だったので、その渋い物件が自分の好みにピッタリでした。

その工務店は自社で設計するため、設計事務所と協働したことはないとのことでしたが、見積もり提出することは可能との回答だったのでお願いしました。

見積もりの結果としては、設計事務所が選択した工務店よりも200〜300万円安いもので驚きました。自分で選んできた会社だったので、多少、見積もりが高くともお願いしようと思っていましたが、意外な結果に驚きながらも、すぐに契約を決めました。

工事が終わった際に、設計事務所の監理担当者からは「今まで関わった大工の中で最も腕が良かった」と言われました。さらに、施主支給に関してもいろいろ認めてもらえて良かったです。この会社を見つけたことが、私の家づくりでの最もいい仕事をした部分だと思っています。価格は安いし、腕も良かったなんて最高ですよね。

げん

いい仕事したよ!

余談ですが、我が家を施工した後は、この設計事務所と工務店での付き合いができたようで、何件かの物件を協働施工していました。

施主支給は工事費用を安くできる方法としてよく紹介されていますが、注意が必要です。正直な話、ほとんどの会社では施主支給は認めたくないはずです。施主支給があると責任の所在があいまいになってしまうからです。

例えば、施主支給したものの仕様が間違っていた場合、手配し直すことにより、工期に影響が出ます。施工後に故障が発生した場合、施主支給した機器自体の問題か、取り付け時の施工方法に問題があったのかの切り分けをすることも難しくなります。

私の場合は、仕様確認は自分が責任を持つ事現場搬入時期は必ず守る事、引き渡し以降の施主支給部分の不具合発生についてはノークレームとする事、を工務店側と約束し、書面化することで施主支給の了解を得ました。

機器の専門知識を持ち、工事工程の調整ができてはじめて可能であったと思います。基本、設計事務所も施主支給部分についてはノータッチとすることが多いと思います。

相手の工務店や設計事務所によっては、もう少しハードルは低いかもしれませんが、歓迎されることではない事を理解し、施主支給を申し出る場合は、お願いする感じで頼むと上手くいくかもしれません。

7.工事請負契約を締結する

工務店を決めた際には、工事請負契約を締結します。工務店と施主は工事請負契約、設計事務所と施主は設計監理契約を結びます。工事と監理が独立しているので、施工不良を未然に防ぐことができます。

契約書には、図面、仕様書、見積もり書を添付して契約を締結します。契約をする前には、見積もり書の中身を十分に確認することをお勧めします。私は、契約前に工務店の積算担当者と見積もり内容の確認をしましたが、数カ所の間違いがあり、軽自動車くらいの金額が安くなりました。

慣れていないと難しいかもしれませんが、普通の感覚で金額を見ていくと「あれっ?」という部分があることがあるので、聞いてみるといいかもしれません。後は、図面と数字が合わないことがありますので、その部分も聞いてみましょう。ちなみに、我が家の場合は、20万円の表札があったので、笑いながら削除しました。

実際、多くの見積もり項目がありますので、どこかに間違いは存在します。工事を進めていく間に間違いが判明することもありますが、工事監理者が居れば、上手に請負者と調整してくれると思います。

8.建築工事開始後に工事監理

工事監理は設計図書の通りに工事が進められているか?、施工不良の原因となることがないか?だけではなく、現場を進める中での細かな部分を施工者に指示していきます。

ハウスメーカーのように、社員が監理するのとは異なり、設計事務所は、工務店とは独立した第三者なので、しっかりした工事監理が期待できます。設計変更に伴う金額変更についても、しっかり話し合って施主の立場で話を進めてもらえるので安心できます。

設計事務所の仕事の流れは以上ですが、設計事務所に依頼することの良さを少しでも伝えることができればいいなと思います。

10年以上住んでみてわかったこと

10年住んでみてわかった点をお伝えします。家はずっと住むものです。長い年月経って、初めてわかることがたくさんあります。そんな、良かった点と反省点をお伝えしたいと思います。

まず、私の家に対する基本的な考えですが、昔ながらの日本家屋が好きでしたので、その雰囲気を重視したいという思いがありました。また、初めに建築家にお願いした時のキーワードは「質実剛健」です。

ハウスメーカーでよく謳われている「高気密高断熱」を目指すよりは、四季を感じながら、日照と通風をコントロールする家を目指したいと考えました。

結果として、未だに我が家の1階にはエアコンがありません年齢的に耐えられなくなった時に設置しようと思い、リビングのエアコン設置位置には、構造用合板、コンセント、配管用穴の準備だけはしてあります。

夏場は風通しをよくすれば涼しく過ごせ、冬場は暖房器具をこたつのみで十分です。さすがに2階は屋根からの熱気が強いと思ったので、ゆっくり眠れるようにエアコンを設置しています。

風の通り道を考えて窓を設置し、軒の出幅を考慮して日差しの遮断、取り入れをします。また、外壁からの断熱をしっかりすれば、暑さや寒さもエアコンなしで過ごせるようなものが出来上がると思います。

良かった点

それでは、まずは良かった点から

  • 一階を回遊型にした
  • リビングに大型建具をつけた
  • テレビを壁掛けにした
  • 踏み天井を採用した
  • 床板を杉の無垢材にした
  • 設備にこだわりを
  • 壁を珪藻土の塗り壁にした
  • 外構を工事範囲から除いた
  • トイレを2箇所にした

一階を回遊型にした

一階部分は、リビング→ダイニング→キッチン→廊下→リビングと一周できるようにしました。トイレや風呂は廊下からアクセスできます。どこにいたとしても、直感的に行きたい方向に行くことで、最短距離で行けます。

毎日の移動なので、このちょっとした距離がとても便利に感じます。

リビングに大型建具をつけた

家を作るとき、やりたかったことの一つにリビングシアターを作ることがありました。ダイニングやキッチンと続きになっているので、プロジェクターで映画を見るときの区切りをするための建具を用意しました。大きな2枚組の木製引扉です。

明かりや音を遮るために用意しましたが、個室感が高まっていい感じです。また、将来的に空調を導入した際にも最小限の部分だけとできるので、省エネにもなりそうです。

非常に大きな建具になりますので、経年による木材の変形が発生を心配していました。しかし、今でもスムーズに開閉しますので、変形はないようです。

テレビを壁掛けにした

新築した際、テレビ、プロジェクター、スピーカーなどの設置は自分でやりました。ケーブル用の配管は壁裏に用意してもらいましたが、壁掛け金具や天吊り金具、スピーカーの埋め込み、スクリーンの設置を自分で施工しています。

現在は、2台目のテレビに変更しましたが、壁掛け金具は流用できています。天吊りや壁掛けの良さはやっぱり部屋がスッキリすることです。後から設置しようとしても、配線が露出していましますので、新築時に計画するのがいいと思います。

プロジェクターとスクリーンは映画を見るときだけ使いますが、天吊りにしておけば片付ける必要がなく、邪魔にもならないので便利です。

踏み天井を採用した

踏み天井とは、1階の天井と2階の床板を兼ねているものを言います。リビングには天井にスピーカーをつけたので天井懐がありますが、それ以外は全て踏み天井にしています。

踏み天井のメリットは、天井が高くできることです。天井が高いと開放感があります。しかし、2階で歩くとその音がよく聞こえますし、1階と2階の遮音性は天井がある部分に比べると劣ります。

床を杉の無垢板にした

床フローリング材は杉の無垢板にしました。踏み天井にも使うので厚さ32㎜のものを使っています。杉板の良いところは、材質自体が柔かいため、温かみがあることです。しかし、柔らかい故に傷つきやすくなっています。

傷を気にする場合は採用しない方が良いでしょう。実際、よく歩く部分の床板は、写真のように柔らかい部分がすり減ってしまって浮造り状になっています。

子供が小さい場合には、転んで頭を打ったとしても柔らかいので痛くない利点があります。我が家では、自分も含め何度もありましたが、ほとんど痛くなかったようです。

設備にこだわりを

風呂ユニット、エコキュート、システムキッチン、トイレ、洗面台などの設備はいろいろなメーカーを回って決めました。有名なメーカーのものが一番良いということはなく、探せばお値打ちなものはたくさん存在します。また、アウトレット品を扱うところも増えてきているので、今はそういうところで探すのもいいかもしれません。

実は、小さな工場が作っているものがOEMで一流メーカーの製品として流通していることは多いです。名前にこだわらなければ、同品質のものをお値打ちに手に入れることもできます。例えば、和光製作所のユニットバス「スピリチュアルモード」はおすすめです。

けっこう斬新なデザインなので家族の評判はイマイチでしたが、今ではデザインだけでなく、汚れが目立たないことも、とても気に入られており、大満足を得ています。

また、当時は入手先が少なかったですが、今ならば通販も盛んになっています。自分で手配して施主支給することで工事費用を抑えることができます。しかし、施主支給には施工タイミングに合わせて現場に搬入することや、発注仕様の確認は自分でできないといけないことなど、それなりに知識が必要となるので、気をつけてください。

壁を珪藻土の塗り壁にした

一階の壁は水周りを除いて珪藻土の塗り壁にしました。落ち着いた雰囲気としたかったので、薄いベージュにしました。経年劣化しないので、10年以上経過した今でも新築当時の状態を保っています

珪藻土の利点としては、その見た目が変わらないだけではなく、調湿効果が高いことは有名です。湿気を吸い込んだり、水分を部屋に放出することで、部屋の湿度を一定に保つようにしています。いわば、壁が息をしているような状態です。実際、1階と2階では洗濯物を部屋干ししたときの乾く速さが違う気がします。

塗り壁はコスト的にみると非常に割高となります。私の場合は、友人が左官職人だったので材料の手配から施工までをやってもらいました。その部分は自主施工とすることで、工事費用は抑えられたわけですが、全てを工事に含めていたならば、珪藻土では予算に収まらなかったと思います。

外構を工事範囲から除いた

予算が最大の理由でしたが、外構を工事範囲から除外しました。敷地の周りを囲うフェンスやウッドデッキなどが主なものです。

結果として、建築工事から除いた外構(外周フェンス、ウッドデッキ)はDIYしました本格的にDIYを始めるきっかけにもなりましたので、今となっては楽しい趣味を持ついい機会でした。

当初、見積の中で示された金額よりもはるかに安い金額で外構を作ることができました。これらの材料は全て通販で入手しました。

ウッドデッキはウリンを使用したため、10年以上経過しても銀白色に変化した以外の劣化は何もありません。色の変化も気に入っており、とても満足しています。

トイレを2箇所に設置

トイレは1階と2階にそれぞれ設けました。これは、すごく良かったと思っています。3人家族なのにタイミングがかぶることはよくあります。

また、どちらか1箇所とすると、1階のみとなります。年齢を重ねるとともに夜中のトイレは行きたくなります。寝ぼけながら、階段を上り下りすることは危険ですね。

反省点

そして、今回は10年経ったからわかった「反省点」について書きたいと思います。「あの点はこうすれば良かったな」と思ったことをお伝えします。じっくり経験して思ったことを書いています。もし、同じようなことで悩んでいる場合には、検討材料として役立てていただければと思います。

それでは、10年経ったからわかった「反省点」をお伝えします。

  • 地盤改良が振動を拾う
  • 雨音がうるさい
  • 風呂が寒い
  • 2階が寒い
  • 階段が夏場に暑い
  • 2階トイレ機器選択

地盤改良が振動を拾う?

引っ越しをして初めて寝ることとなった夜、「地震か?」と思いました。震度1か2くらいの地震が起きていると思いましたが、特に発生している気配もありません。よくよく探ってみると、近くの道路からの振動が伝わっているようでした。大型トラックが通る際、道路の段差を越えるときの振動が家まで伝わっているようです。

結構な振動だったので、慣れるのに時間がかかりました。今となっては全く気になりませんので、人間の慣れってなかなかのものですね。震度3以下では地震に気がつかないのが難点です。

原因としては、柱状改良をしたことで道路からの振動が固い地盤を通して伝わっているのではないかと推測しました。

ボーリングデータからは、柱状改良をしなければならないほど軟弱な地盤というわけではありませんでした。しかし、万全を期して地盤改良をしたわけですが、そのことが振動を誘発してしまったかもしれません。今となっては気にならないので、不動沈下する心配を抱えるよりは、施工して良かったと思うようにしています。

雨音がうるさい

これも振動と似たようなことですが、引っ越しして初めて雨が降った日に雨音のうるささに驚きました。一階では全く聞こえないのですが、2階ではとてもうるさく感じました。

原因は屋根の雨音が響いているためです。屋根はシンプルな形のほうが雨漏りの可能性がありません。そのために片流れを選択しています。片流れは一直線に片方にだけ勾配がついている屋根の形状です。さらに、地震対策を考えて軽い屋根材を選択したため、折板屋根としています。

折板屋根は駅のホームや公共の自転車置き場などで採用される金属屋根です。山と谷を繰り返す形で、雨が谷側部分を流れます。非常に単純な形状なので、雨漏りの可能性が低く、重量は非常に軽いものとなります。家の頭の部分である屋根が軽いことは、地震で揺すられた際、大きな力が働くことがありませんので有利となります。

2階の屋根部分は趣があるように杉板を張りましたが、天井裏の雨音が余計に響くような気がします。当然、板の裏側には断熱材が入れているのですが、採用したものがパーフェクトバリアという綿のような断熱材であるため、遮音性が乏しかったようです。もう少し遮音性も優れる断熱材を使えば良かったとは思いましたが、これも今では全く気にならなくなりました。

どちらかというと、雨が降り出すとすぐにわかるので便利なくらいです。

風呂が寒い

お風呂は家づくりの中でこだわりたかった項目の一つです。ゆったり足を伸ばして湯船に浸かりたかったので、ユニットを1.25坪タイプのものを採用しました。少し広めのタイプのものを採用したのですが、冬場の寒さが半端無いです。景色を楽しむつもりはなかったので、窓は30センチ角程度の小さなものとしたのが救いです。窓を大きなものとしていたら、もっと寒かったかと思います。

これは、年齢を重ねてヒートショックを心配するようになったら、浴室暖房器を導入すればなんとかなるのかと思っています。風呂場を広くした場合は、初めから浴室暖房器をつけることをお勧めします。

2階が寒い

冬場に2階が寒いと感じることがよくあります。熱が逃げる道としては、やはり開口部が一番だと思います。実は、予算コントロールしている中で、1階の窓ガラスは複層ガラスを採用しましたが、2階は単板ガラスとしました。複層ガラスは複数枚のガラスの間に乾燥空気が入った中間層あり、その層で断熱するものです。

単板と複層ガラスでは、断熱性能が変わりますが、金額も変わります。予算のメリハリをつけるために1階だけを複層としましたが、2階も複層ガラスを採用すべきでした。1階のリビング、ダイニングには南面に大きなガラスがありますが、2階は開口部が少ないので熱影響は少ないと思っていたため、単板で十分と思ったのが甘かったです。

予算的な話をすれば、2階は開口部が少ないため、仮に複層ガラスにしたとして、アップする金額は気にするほど高くありません。費用対効果を考えれば、全てを複層ガラスするべきだったと思っています。

階段が夏場に暑い

うちは家の中心部分に階段が存在します。明かりを取り入れるために大きな開口部があります。しかしながら、この窓は単板ガラスであり、しかもはめ殺しとなっています。

階段上部の開け閉めがやりにくい場所だったので固定としたのですが、夏場に暑い空気の逃げ場がなく、階段上部に滞留してしまいます。

もし、この窓を開けることができたなら、階段を通して1階から天井部分に向けて風が通るので、暑い空気が滞留することがありません。夏場の2階でもクーラーを使わずに過ごせたかもしれなかったと考えていました。

トイレの設置位置と機器選択

1階のトイレは当時、最新型の自動洗浄トイレを導入しました。2階のトイレは温水洗浄機能もないシンプルなものとしました。

2ヶ所のトイレを用意したことは、朝のトイレ渋滞が発生している現状から、正解だったと思っていますが、2階の機能を絞ったことを反省しています。

設備というものは、高機能になればなるほど故障するものです。10年も使用すれば高機能トイレは故障します。すぐに修理できるわけでは無いので、お尻洗浄機能のないトイレで過ごさなくてはなりませんでした。この時ばかりは、少しの金額をケチった自分を恨みました。

トイレはレベルを合わせたものを用意して、予備として活用できるようにしましょう。

げん

長い話、読んでくれてありがとね

以上、設計事務所で家を建てた話でした。興味が出たら、どこかの設計事務所にアポを取って出かけてみてください。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

こんにちは、源です。
平日はしがないサラリーマン、週末の気が向いたときにDIYをしています。
いろいろ作ってみては、考えたこと、失敗したことなどをブログに書いています。
このブログを読んで、「私も作ってみようかな」と思える人が増えるよう、DIYの楽しさを伝えていきたいと思います。

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