こんにちは、源です。今回は、ウッドデッキの設計手順についての話です。
ウッドデッキを作りたいけど、どうやるんだろ?
ウッドデッキをDIYしようとすると、最初にぶちあたる壁は設計図です。
私がDIYしたとき、詳しく説明したものが世の中にありませんでいたので、苦労しました。今回は、実際に作ったウッドデッキの図面を説明します。
手書きのフリーハンド図面だから、汚いけど勘弁ね
設計条件
設計条件
- 大きさ/幅:2.0m 奥行き:1.5m 高さ:40cm
- 使用材料/サイプレス 塗装/なし
- フェンス/なし パーゴラ/なし
- 基礎/沓石のみ 床下コンクリート打設なし
- 工法/サンドイッチ工法
- 床板隙間/3mm
今回は、リビングの掃き出し窓前に床レベルと同じ高さのウッドデッキを製作します。下の写真は目隠し用のフェンス付きです。
今回、設計するウッドデッキは、この写真からフェンスをなくしたものです。仕上がりイメージの参考にしてください。
一般的な掃き出し窓幅は1,820mmであるため、ウッドデッキの幅は少し大きめの2.0mの幅とします。奥行きは1.5mとして、約1坪弱のこじんまりとしたものを設計します。
基本的な工法は、サンドイッチ工法を採用します。この工法は、基礎部分をラフに作ったとしても、根太部分を水平にすれば問題なく、非常に作りやすい工法です。初めてウッドデッキを作る場合には、最適な工法です。
今回設計したウッドデッキは、とにかく頑丈さであることを目的としています。このため、使用材料の断面は、通常のウッドデッキよりも大きくなっています。
設計手順
それでは、実際の設計手順を示します。
ウッドデッキの設計手順
- 設計条件の確認
- 材料規格の確認
- 根太ピッチの決定
- 床板規格の決定
- 大引きピッチの決定
- 束柱長さの決定
1.設計条件の確認
どんな大きさのものを作るのかを決めます。
規模:幅2.0m、奥行1.5m、高さ40cm、床板隙間3mm
材料:サイプレス(豪州ヒノキ)
床板:長辺方向(2.0m)に平行とする
工法:サンドイッチ工法
今回は、掃き出し窓から出入りするウッドデッキを製作します。奥行きは1.5mとし、2.0m×1.5mの約1坪のウッドデッキを作ります。
ハードウッドと呼ばれる耐久性の高い木材の中でも柔らかく、加工がしやすいサイプレスを使用します。シロアリも寄せ付けないため、腐りにくい木材です。
床板を張る方向は、長辺方向、短辺方向で趣が異なります。イメージしながら、どちらにするかを決めましょう。長辺方向に張る場合には、同じ面積の場合、張る枚数が少なくなるので、施工が楽になるという利点はあります。
工法としては、サンドイッチ工法が細かな調整が不要で、手軽に作れます。
2.材料規格
材料をサイプレスとしましたので、世の中に流通している製材規格に中から決定します。
用途 | 規格 |
束柱 | 90㎜×90㎜ |
根太、大引き | 38㎜×90㎜ |
床板厚さ | 20㎜〜35㎜ |
床板幅 | 90㎜〜120㎜ |
3.根太ピッチの決定
まず、長辺方向(L=2,000㎜)AーA’断面図における両端の束柱位置を決めます。
根太は床板を支える部材です。根太のピッチは、人が歩いても床板が大きく撓まない長さでなければなりません。床材によって飛ばせるピッチは変わりますが、どんな床材であっても80㎝ほどを上限とします。
両端の束柱中心をどこにするかを考えるため、詳細図をみてください。
束柱(90㎜×90㎜)の中心から端までは45㎜、根太の幅が38㎜、根太の端からはみ出す長さを32㎜とします。すると、床板先端から束柱中心までは、45+38+32=115㎜となります。
次に、 AーA’断面図 のとおり、両端の束柱中心の距離は、2,000- 115×2=1,770㎜となります。
では、この両端の束柱の間に何本の束柱を置くかを考えます。間に1本を追加して、全部で3本の束柱を置いた場合は、束柱どうしの間が2か所できるため、1,770㎜÷2=885㎜となります。
しかし、この長さでは床板が撓みますので、ピッチを狭めるため、束柱をもう1本追加し計4本とします。束柱中心ピッチは、1,770㎜÷3=590㎜で決定します。
ちなみに、床板のはみ出し幅は20~50㎜が適正ですが、今回は束柱中心距離が3で割り切れる数字である1,770㎜となるように逆算して32㎜としています。
根太ピッチは、根太ピッチ詳細図のように、束柱中心からの距離45㎜と根太幅38㎜を両側から差し引いて、
590-(45+38)×2=424㎜となります。
4.床板規格の決定
床板の厚さは、上を歩くときに床板がたわまないような厚さを決めます。根太ピッチを考慮して、撓まない床板の厚さを選択します。
根太ピッチ424㎜は狭い部類に入るので、床板は規格の中で最も薄い20㎜を選択します。幅はいくつでも構いませんが、見た目、価格、施工手間を考慮して105㎜を選択しました。
床板の隙間は3㎜としますので、隙間を足した床板の幅は105+3=108㎜となります。奥行きは1,500㎜なので、必要な床板枚数は1,500㎜÷108㎜=13.88→14枚となります。
よって、仕上がりの床板寸法としては、108㎜×14枚-3㎜(最後の隙間は不要のため)=1,509㎜となります。
5.大引ピッチの決定
短辺方向(L=1,509㎜)B-B’断面図における束柱位置を決めます。大引きは根太を支える部材です。大引きは、根太が安全に支えることができるような間隔にします。
詳細図1から、床板をはみ出させる長さを20㎜とします。両端の束柱中心は端から(20+38+45=)103㎜となります。両端の束柱同士の中心距離は、B-B’断面図の一番上の寸法のように、1,509ー(103×2)=1,303㎜となります。
大引が根太の中心を支えるよう、束柱間距離の中心( 1,303㎜÷2=651.5㎜ )に大引の中心とします。端数処理をして、大引中心を束柱中心から651㎜と652㎜にします。
詳細図2の一番下の寸法をみると、大引中心と束柱の中心までは、19㎜+45㎜=64㎜あります。 また、B-B’断面図の下から二番目の寸法から、束柱中心からは、651㎜+64㎜=715㎜となります、
もう一方の束柱中心距離は1,303㎜-715㎜=588㎜となり、これで大引ピッチが決まりました。
6.束柱長さの決定
動線として、掃き出し窓からウッドデッキへ出入りします。ウッドデッキの仕上がり高さは、掃き出し窓の水きり金物下端に合わせて設計します。まずは、地面から水切り金物下端を測定します。
床板上端までの高さは400㎜であるので、沓石の高さ150㎜と床板厚さ20㎜、根太上端との隙間10㎜を差し引き、400-(150+20+10)=220㎜となります。
サンドイッチ工法では根太で床板の水平を出すため、束柱は根太の上端から、下げておくため10㎜程度の隙間をあけます。少しの施工誤差は、ここに隙間で吸収できます。ここがサンドイッチ工法のいいところです。
設計図面の完成
今までの検討で作成した、平面図と各断面図にて設計図面は完成です。
今回、もっとも基本的なウッドデッキの設計図を作成しましたが、これが正解というわけではありませんので、自分の好みに変更してかまいません。たとえば、床板をもっと厚いものにしたほうが横からの見た目がよくなります。
このときは、「根太ピッチを広げる」、「大引を省略する」、「束柱の数を減らす」などのことを検討し、全体のバランスをとります。このように、楽しみながら、いろいろ考えるのも楽しみのひとつです。ぜひ、チャレンジしてみてください。
こんな感じで設計すれば作れるよ
次回からは、材料の手配について考えてみましょう。
ウッドデッキに関する記事については、こちらをご覧ください。
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